先日のゲームレジェンドで買った『スペースハリアーの30年II』(ゆずもデザイン)を読んだ勢いで、何故かメガドライブの『スペースハリアーII』(セガ)を一気にクリアしました!
…私が一気にクリアできるシリーズがこれしかなかっただけですが(汗)
地獄のように難しかったセガマークIIIソフト『スペースハリアー3D』(セガ)とはうって変わって、エクステンドしまくるおかげで極端に難易度が下がった本作はある意味でセガらしくないですが、マークIII時代のようにクリアできないレベルの難易度よりかはマシかな、と。エクステンドしまくる反面、コンティニューはないですし(笑)
話を元に戻して、肝心の本の内容も素晴らしいですね。前作より濃さがやや控えめですが、そもそも前回の本の製作の時点で続編は考えていなかったようなので、あくまで今回の本は前回の本のフォローする形の本…というには、それでも濃かったです(笑)
スペハリグッズに、オペレーターや元Beepライターの追想、移植版のプログラマーインタビューなど、今回も読み応えある内容ですが、やっぱ目玉はスペハリの生みの親・鈴木裕氏のインタビューですね。
同人誌に開発者のインタビューが掲載されることはそう珍しくないですが、大手メーカーの作品で、しかも大作になると話は別(多くのメーカーは二次創作物に目を瞑っているのが実情)。鈴木氏がすでにセガから独立しているからこそ実現できたインタビューだとは思いますが、それを実際に実行したゆずもデザインさんの仕事は素晴らしい!
聞き手はM2社長の堀井直樹氏ですが、この手のインタビューにありがちなマニアックな質問に走らず、技術面に疎い素人でも分かりやすく話を聞き出せた辺りにプロの仕事を感じます。
中でも衝撃的だったのは、当時のハードウェアで3Dゲームの当たり判定を処理するにはパワーが足りなく、スピードを稼ぐ手法として選んだのが「計算をしない」と明かされた時には良い意味で騙されたなと思いました。プレイヤーが敵をロックオンして弾を撃った時点で敵を倒したかどうかを判別しているようで、これをプレイヤーに気付かせずに遊ばせたなんてアイディアの勝利ですね(笑)
他にも、微妙な移植度だったファミコン版(販売元はタカラ)の開発者のインタビューが掲載されていたのも驚きでした。ファミコン版の開発は知る人ぞ知る奇作『バトルゴルファー唯』(セガ)の開発元で知られるホワイトボードで、このインタビューによるとホワイトボードは後にサントスに社名を変更し、その直後に作ったのがメガドライブ版『ああ播磨灘』(セガ)とのことで、あのB級感溢れる独特な作風は元からだったんだなと妙に納得しました(笑)
技術面的な話が多くて理解できなかったですが、PC8801版の開発者さんの石井和久さんとX1版の込山健二氏の寄稿は、その手の人には読み応えのある記事だと思います。当時の最新ボードのゲームを8bitパソコンに移植する作業は困難を極めたと思いますが、この石井氏と込山氏は高校在学中(しかもこの2人は同級生!)に開発をしたというのだから驚きです。この時期のゲームソフトは一人でプログラムできたとはいえ、高校を通いながら一年半掛けて、しかも商品としてのクオリティを保ちながら完成させたのだから驚異としか言えません。発売時期が時期だけにそこまで売れなかったようですが(もらった印税が開発掛けた一年半分に見合うほどの額ではなかった)、この二人がこの移植がきっかけでそれぞれNECやシャープに就職し、今でも技術者として一線で活躍している話を聞くと、スペハリ移植がその後の人生を左右したと言っても過言ではないと思います。