先日のゲームレジェンドで購入した、スペハリ本で有名なゆずもデザイン発行の『ウィザードリィの深淵』を読んだのですが、もう圧巻ですね。
自分の場合、『ウィザードリィ』シリーズの初体験が中学一年生の時で同年1990年に発売されたファミコン版『ウィザードリィIII ダイヤモンドの騎士』(アスキー)が最初というニワカぶりで、ヒッポンの記事で興味を持って買ったのですが、初代は当時はなかなか中古が出回らないほどの人気作だったのか手に入れるのが随分と先でしたが、そんなニワカな自分でもこの本は十分と楽しく読める本だと断言します!
表紙に掲載されているインタビュワー陣を見ただけでその凄さは一目瞭然ですが、Wizファンであれば名前ぐらいは知っているであろう同シリーズの伝道師ともいえる須田PIN氏や忍者増田氏やベニー松山氏や手塚一郎氏らといったベテランライター陣や、#3・外伝シリーズのスタッフ、モンスターデザイナー末弥純先生らのインタビューがとにかく豪華!そして極めつけがWizの原作者であるロバート・ウッドヘッド氏にもインタビューしているのが凄い!!(こんな説明をしなくても表紙を見ればどんな内容かは一発なんだけれどw)
これだけの関係者を集めているのであれば、もし作曲家の羽田健太郎先生が今でも生きていたら絶対インタビューをしてたでしょう。あとファミコン版の開発元であるゲームスタジオの代表だった遠藤”ゼビウス”雅伸さんとかも(開発には関わってなさそうだけど)。
他にも、Wizの複雑怪奇な版権の流れをよくぞここまで調べたと思いますし、ここまで調べ上げたライターの執念は只者ではないですね。他にもWizがファミコン版シリーズではどうしてシリアス路線になったのかとか、ファミコン版ではダンジョンのグラフィックをオリジナルであるPC版のような線画モードに切り替わるようにしたのか、中古対策としてモノとしての価値を高めるためにパッケージにモンスターカードを付属したりとか、当時の任天堂はS-RAMカートリッジの生産を某K社(話の内容からおそらく現コーエーテクモゲームス)タイトルに優遇され初代Wizはあまり生産できなかったとか、ファンには気になる疑問も押さえてあってぬかりはありません!
また、Wizには仕事で絡んでいないものの、ゲームクリエイターの岩崎啓眞氏によるコンピュータRPGがまだ一般的ではなかった時代のリアルタイムでPC版を遊んだ時の感想も興味深く読めました。ファミコン版で初めてWizをやった人の多くはそれまで他のRPGをやってた人が多く、RPGという遊びがまだ物珍しかった時代の感想は貴重ですからね。
個人的にはWiz絡みの話以外にも、アスキーのファミコン参入時のエピソードや、ファミ通のアスキー作品のクロスレビューの評価が他社に比べて冷遇されてたとか(広告費対策らしい)、CSKの大川功会長が800億円のポケットマネーをセガに融資した件が面白かったです。アスキーのファミコン参入の件で、改めて当時の任天堂の社長であった山内氏が何故組長と呼ばれたのが改めて思い知りました。確かにこれはこわい…(笑)
そして、ファミコン版を手掛けたゲームスタジオがセガサターン自体にソフトが売れなくて経営がやばくなった原因のソフトって、伏字になってたけれど『エアーズアドベンチャー』だよな、やっぱ。記事にある通り、キャラデザにあの永野”FSS”護先生を起用してたこともあってサタマガでの前評判がやたらよかったし(汗)
全てをじっくり読むにはまだ時間が掛かるボリュームなのでざっくりとした感想ですが、公式本と言っても過言でもないほどのこのクオリティで1,500円は破格です。ほんの少しでもWizに興味ある人にはイチオシです!
この本の影響からか、ファミコン版Wizがやた品薄になったのをはじめ、ファミコン版をベースに移植したスーファミ版は秋葉原中の中古ショップから一斉に消えたのが恐ろしい…。そもそもスーファミ版は最初から数が出てないのもありますが(汗)
次回のゆずもデザインさんの新刊は『ダライアス』(タイトー)の本だそうです。こちらもどんな本に仕上がるか楽しみですね!現在ライターの募集をしているようですが、個人的に初代の移植で最も思い入れのあるゲームボーイアドバンス版『ダライアスR』(ジャレコ)の感想を送ってはダメですかね?(汗)